本書の特徴は、般若心経を原意に可能な限り忠実に解釈しようと試みている点です。
そのため、文献学的作業をまず行っています。
法隆寺の世界最古のサンスクリット写本を校訂したテキストとその和訳、玄奘訳の原文とその読み下しを最初に掲載してあります。
これが第一部です。
第二部では、玄奘訳の解釈を行いますが、その際、古今の注釈を参考にしています。
私の印象では、空海の『般若心経秘鍵』をはじめとする密教的な注釈や考え方が参考にされる場合が少なくないようです。
金岡先生が真言宗の寺院のご住職で、密教をご専門にしておられるからでしょう。
第三部は、般若心経のテキストとその注釈書が紹介されています。
般若心経を研究しようとする者にはおおいに参考になります。
口絵には浄厳の写本の写真が掲載されています。
以下に目次を紹介します。
- 原本まえがき
- 第一部 『般若心経』
- 法隆寺本 梵本『般若心経』─原文
- 法隆寺本 梵本『般若心経』─和訳
- 玄奘訳 現行本 対照『般若心経』─原漢文
- 玄奘訳 現行本 対照『般若心経』─訓読
- 第二部 『般若心経』―原意と内容
- 一、真実の知恵の経―経題
- 二、真実の実践―総論
- 三、色は空なり―般若の哲学(1)
- 四、変わりなき世界―般若の哲学(2)
- 五、生死を超えて―般若の哲学(3)
- 六、さとりに生きる―心経の世界
- 七、不思議の発見―秘密と真言
- 第三部 『般若心経』のテキスト
- サンスクリット原典
- チベット訳テキスト
- 漢訳テキスト
- 註釈
- 近代の『心経』講述
- 原本あとがき
- 索引
本書は講談社文庫『般若心経』1973年刊行が底本です。
著者 金岡秀友
1927年、埼玉県生まれ。東京大学文学部印度哲学科卒業。東洋大学名誉教授。真言宗妙薬寺住職
著書 『仏教の国家観』(佼成出版社)、『仏典の読み方』(大法輪閣 )、『密教の哲学』(講談社学術文庫)他、多数
訳書 シチェルバトスコイ『大乗仏教概論』『小乗仏教概論』
←般若心経の関連書籍へ戻る
Copyright (C) 2005 般若心経ドットインフォ All Rights Reserved.
※当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます。