「舎利子よ」と観自在菩薩があらためて舎利子に呼びかけていますから、ここから別の問題に入っていきます。
「諸法」の「法」はサンスクリット語で「ダルマ」、パーリ語では「ダンマ」といいます。重要なことばで、多くの意味を持っています。「たもつ、ささえる」という意味の動詞語根から派生した名詞で、一般的には秩序・定め・法則・規範などの意味をあらわし、さらに道徳・正義、習慣・習性・性質、真実・最高の実在などをあらわします。仏教では、仏の悟った真理、教えなどの意味に使われることが多いのですが、ここでは仏教独特の用法で、あらゆる存在、ことがら、ものごと、現象、事象の意味で使われています。森羅万象という気のきいた言い方もあります。
「相」は、一般的には「すがた」「かたち」の意味で使われます。しかし、占いでは、人相、手相は「人の運勢をあらわしていると思われる特徴」という意味で、「空相」の「相」はこれにあてはまると思います。「特徴」「特質」という意味で、サンスクリット原本からの翻訳では「特性」となっています。
「すべての現象には空という特徴があって、不生不滅。不垢不浄。不増不減。」ということになります。
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