「空」は仏教、特に大乗仏教における重要な思想であり、般若経によって示され、龍樹(ナーガールジュナ)によって確立されました。
本書は、「空」が仏教史の中でどのようにとらえられてきたかを、原始仏教、部派仏教、大乗仏教、密教、中国、日本、チベット、そして現代の日本までたどります。
特に、般若心経の「五蘊皆空」や「色即是空 空即是色」を何度も取り上げ、解説を加えていますが、これは般若心経を理解するために大いに役立ちます。
「色即是空 空即是色」を、悟りを得る前後の一連の実践行為(行)ととらえ、(1)色から空に至る時間(自己否定という行を積む)、(2)空性を直観する時間(悟りの瞬間)、(3)空から色に至る時間(悟った後の日常生活)、という三種の時間を含む宗教行為の総体を指している、という解説にはなるほどとうなずけます。
同氏の著書
『般若心経の新しい読み方』2001年、春秋社をあわせて読むと、『般若心経』の理解が一層すすむでしょう。
著者 立川 武蔵
1942年、名古屋生まれ。
名古屋大学文学部卒業。
ハーバード大学大学院でPh.D取得。
名古屋大学教授を経て、国立民族学博物館教授。
専攻は、仏教学、インド学。
著書 『中論の思想』『はじめてのインド哲学』『日本仏教の思想』『最澄と空海』他、多数
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